2014年3月21日金曜日

アクセプタンスとコミットメント


2013年度のNPOの事業の一環として、孤立うつ防止に役立てるハンドブックを作成しました。(現在、校正印刷中、右の手描きイラストは今春から就職するSさんの作)

 

A5版で140ページぐらいになる予定ですが、その中で、昨年度4人の職員(一年間の期間限定でした)が研修として互いに学んだACT(アクセプタンス&コミットメントセラピー)を取り上げ、60ページ以上をACTに割いています。

 

まとめるにあたっては研修時に作成したその4名(および現在いる職員の1名)のパワーポイントを大いに参考にさせていただきました。

 

発行に先駆けて、その章のまとめを以下に掲載いたします。

 

ACTその1 アクセプタンス

不安や怖れといった自分の内的な体験に対して、嫌な来客が訪れたときのように歓迎しましょう。それがウィリングネス。その来客を閉め出すのではなく、無視するのでもなく、玄関に行って迎えること。あるがままに受け取るとは、今この瞬間起こっている不安や怖れに気づくこと。格闘することなく手放しましょう。

 

ACTその2 脱フュージョン

ありのままに体験を見ること。判断せず、評価せず、先入観をもたず、固定観念を取り除いて、物事に接すること。出来事と、自分がそれに貼りつけてきた評価を切り離しましょう。あなたが避けようとしている出来事は、ほんとうは無色で中立です。勇気をもって曇りなき眼(まなこ)で見定めましょう。

 

ACTその3 観察者としての自己

「私は愚かだ」、「私には価値がない」、「私は恐がりだ」などの自己イメージ(概念化された自己)は、自分がくだしてきた自分への評価にすぎません。あなたの意識に浮かんでは消えて行く思考、感情、記憶、衝動に気づくこと。青空に浮かぶ雲のように。思考という雲はじっと固定しているかのように見えますが、微かに形を変え流れていることに気づきましょう。感情という雲、衝動という雲が、意識の青空の中でわき起こっては流れ消えて行くことを見ます。この雲を見ているものはいったい誰でしょうか?あなたは身体を見ることができます。であるからあなたは身体そのものではありません。同じようにあなたは判断や評価といった思考に気づき、思考を対象として見ることができます。であるからあなたは思考ではありません。あなたは不安や落ち込みといった感情に気づき、感情を見ることができます。であるからあなたは感情ではありません。あなたは欲しい、逃げたいという衝動に気づき、それを対象として見ることができます。であるからあなたは衝動ではありません。思考ではなく、感情でもなく、記憶でもなく、衝動ではないあなたとは、いったい誰なのでしょうか?そう、それが「観察する自己」です。「観察する自己」として安らぎましょう。

 

ACTその4 今この瞬間

「今この瞬間」に触れましょう。過去のことを後悔し、未来のことを心配し、心ここにあらずの状態で時を過ごしていませんか?私たちの頭は勝手にいつの間にかしゃべりはじめてしまうものです。そうした時には「おーとっと」とそのことに気づいて「今この瞬間」へと戻ってきましょう。吸う息吐く息を意識してみましょう。呼吸は十分に深いでしょうか。眉をひそめていませんか。できれば口元に微笑みを。

 

ACTその5 価値

あなたの人生で親密な人との関係はどうありたいでしょうか?子育てではなにを大切にしたいですか?親、きょうだい、親戚との関係はどうでしょう?友人とはどんな関係でいたいでしょうか?仕事を通じて生み出したい価値は何でしょうか?学ぶことにどんな価値をおいていますか?健康であるとはあなたにとってどういうことでしょうか?地域や社会、自然とどのように関って行きたいですか?レジャーをどう考えていますか?「自分とは、人生とは」という哲学的な側面とどう向き合いたいでしょうか?

 

ACTその6 コミットメント

あなたが価値をおく山に向かってバスを運転しましょう。不安や怖れといった乗客が乗り込んできても、拒まず、乗せて運転していくと決意することです。到着しなくては意味がないのではありません。山に向けて運転しているプロセス自体が価値なのです。苦痛という乗客から逃げないこと。しかし苦痛という乗客と格闘もしないこと。そっと手放し、慈しみをもってそのままにしておくことです。Let it be ♪♪

不安や怖れという乗客を道連れにし、前へ前へと進んでいきましょう。