2016年7月1日金曜日

アドラー心理学に対する短絡的な誤解や批判について

読売オンラインに岸見一郎氏が書かれた記事はこちらです。
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20160627-OYT8T50061.html?page_no=1

アドラー心理学に対してしばしば短絡的な解釈による誤解や批判があるといいます。小児がん領域においても、大切ではないかと思ったポイントを以下に抜き出しました。

アドラーは、行為だけでなく人生についても、自分の運命を変えられないものと見たり、不幸なままであるとは考えたりせず、「自分は自分の運命の主人である」(『性格の心理学』)と考えた。

短絡的な批判①(アドラーの考えは)「あなたの不幸はあなた自身が選んだものである」「病んだのは本人のせいである」というような自己責任論だという批判をされることがある。
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しかしアドラーは、自分の行為について、その選択の責任は自分にあるといっているのであり、(自分の選択に対して責任を問うのは必要なことですが)「あなたが選択したのだから、その選択に伴う責任はあなたにある」と、選択したことで窮地に陥った人を責めたり、そのような人を自己責任だとして救済しないことの理由にするのは間違っているし、アドラーの思想とは関係がない。

短絡的な批批判②アドラーは「誰でも何でも成し遂げることができる」といった(『個人心理学講義』)。これに対しては、遺伝のことなど考えれば、何でも成し遂げることなどできないという批判がされてきた。

しかし、アドラーの主眼は、才能や遺伝などを持ち出し、自分はできないという思い込みが生涯にわたる固定観念になる可能性に警鐘を鳴らしているのである。

短絡的な批判③アドラー心理学は「人生は思いのままになる」というようなポジティブ思考だという批判をされることがある。

過去につらい経験をした人は、そのことがトラウマとなって今不幸であると思ってしまいがちだ。
アドラーがトラウマを否定したのは、私たちはつらい経験をしても生きていかなければならないからであり、自分が取り組まなければならない課題に対してトラウマを理由に回避してはいけないからである。