2014年8月22日金曜日

高次脳機能障害とリハビリ

小児脳腫瘍の経験者の晩期合併症として高次脳機能障害があります。

 小児がん経験者の高次脳機能障害をテーマにしたセミナーを計画しているところですが、橋本圭司著「高次脳機能障害のリハビリがわかる本」によると「高次脳機能障害はリハビリできる」といいます。

小児脳腫瘍由来の高次脳機能障害がどの程度リハビリできるかは定かではありませんが、原因が交通事故による脳外傷であろうと急性脳症などの病気であろうと「後天的な脳損傷の後に現れる高次脳機能障害はリハビリできる」とされています。

〇低次の脳機能と高次脳機能

まず、高次脳機能とは何でしょうか?

感覚機能(五感)、運動機能(手足を動かす)、生命維持機能(呼吸、心拍、睡眠)などが比較的低いレベルの基本的な機能であるの対し、高いレベルの認知機能のことを高次脳機能と言います。記憶、意識の集中・持続、物事を段取ること、感情のコントロールなどのことです。

○発達障害と高次脳機能障害

全国に発達障害のこどもは100万人いると言われるています。

発達障害とは生まれつき(先天性)の脳機能障害を言います。自閉症やADHD(注意欠陥・多動性障害)、LD(学習障害)などがあります。これに対し高次脳機能障害は脳の機能に問題なく出生した子どもが病気やケガによって脳を損傷し、症状が出た状態で後天性なのです。

しかし、衝動性の強さや注意力の低下、コミュニケーションの困難など類似の症状があります。

大人の高次脳機能障害の場合は加齢や脳血管障害の影響によって認知機能が低下する認知症と診断されることがあると言います。しかし認知症は進行性のものが多く、リハビリに期待できるのは脳機能の維持に限られるのに対し、高次脳機能障害はリハビリによる脳機能の改善が見込めるとされています。

 ○高次脳機能障害のうつ状態とうつ病の違い

頭のケガで前頭葉を損傷した人やくも膜下出血で脳全体にダメージを受けた人は意欲が低下し、話す・動く・考えるなどの行為を自分からはじめることができない状態を示すことがよくあるとされています。そのためうつ状態であると診断されることがあるようですが、これは通常のうつ病ではないため、きっかけづくりのリハビリをすれば状態が改善する可能性があるとされています。

 これまであまり小児がん領域で言われてこなかった、いろいろな発見があります。

 これらのことについてこのブログで今後もう少し詳しく取り上げていきます。
 

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