地域社会においては、環境保護、高齢者・障がい者の介護・福祉から、子育て支援、まちづくり、観光等に至るまで、多種多様な社会課題が顕在化しつつあります。このような地域社会の課題解決に向けて、住民、NPO、企業など、様々な主体が協力しながらビジネスの手法を活用して取り組むのが、ソーシャルビジネス(SB)/コミュニティビジネス(CB)です。
このソーシャルビジネス、もとは2006年にノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌスによって提唱されました。ムハマド・ユヌスはバングラディッシュで貧民層を対象としたマイクロクレジット(少額融資)を可能にしたグラミン銀行の創始者です。
ムハマド・ユヌスの言うソーシャルビジネスにはタイプ1とタイプ2があります。
タイプ1は、出資者に配当を出さず、利益の替わりに社会指標改善を目標にする、というものです。
例えばグラミン銀行とヴェオリア・ウォーターとの合弁会社であるグラミン・ヴェオリア・ウォーターの場合、目標は「バングラディッシュの3500万人にヒ素のない飲み水を提供すること」です。
それが
内部相互補助(cross‐subsidization)
と呼ばれるものです。
具体的には、貧困層への水道システムを、都市部への電力サービスによって得た収益で補うことで成り立たせているのです。
今回のエスビューローのソーラー農場はこのタイプ1のソーシャルビジネスです。
太陽光発電事業で得た収益で小児がんNPOの活動費を補うという内部相互補助(cross‐subsidization)の戦略をとることによって、不安定な非営利事業を安定かつ確実なものにしようとしているわけです。
そして、その利益が出資者に分配されることはありません。
一単位の規模としては300坪72kWモデルを想定しています。
そして、小児がん経験者が事業の所有者になるタイプ2のソーシャルビジネスも構想しています。
その典型例がグラミン銀行です。
グラミン銀行は竹細工で生計を立てる人や生活雑貨を訪問販売する農村部の女性などに無担保で少額の低利融資を行い彼女たちの自立を助けてきました。(彼女たちはそれまで不当な高利貸しから資金を借りざるを得なかったのです)
これがタイプ2のSBです。
これをソーラー農場に当てはめると
50坪12kWモデル(年間売電収入約50万円)というものが見えてきます。
サバイバーが小さなソーラー農場を所有することで20年間の安定収入を得て自立の一助とする、これはそんなに無理のあるアイデアでしょうか?
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