2012年8月17日金曜日

大切な臨床研究情報の公開


先日、梅田スカイビルで行われた小児がん脳腫瘍全国大会で、「小児がん拠点病院のあり方」に関してタウンミーティングがもたれた。梅田スカイビル36階の会場に100名以上が参加していたと思う。私と当団体(エスビューロー)の安道さんはファシリテータとしてこのミーティングに関わった。



みんなで考えようこれからの小児がん医療Ⅱ


このテーマに関しては3年前に神戸国際会議場で実施した第2回小児がん脳腫瘍全国大会から幾度となく議論を尽くしてきた。「小児がん拠点病院のあり方」については中核機関、拠点病院、協力病院の3層構造で全体像の案が示されており、全国の拠点病院数は10か所となっている。




 拠点病院の要件としていくつかの備えるべき機能があげられているが、その中のひとつに「臨床研究情報の公開」がある。これは患者・家族にとって大切な情報だ。小児脳腫瘍や固形腫瘍の希少がんなどはまだまだ標準治療が確立されていないものも多いからだ。

 次のように書かれている。(以下引用)



臨床研究などを行っている場合は、次に掲げる事項を実施すること。

ア 進行中の臨床研究(治験を除く。以下同じ)の概要及び過去の臨床研究の成果を広報すること。

イ 参加中の治験について、その対象であるがんの種類及び薬剤名等を広報することが望ましい。

ウ 臨床研究を支援する専門の部署を設置していることが望ましい。

エ 臨床研究コーディネーターを配置し、ブロック内の協力機関とも連携し、ブロック内の臨床研究を推進すること。

(引用ここまで)


近い将来こうなることが望ましいのはいうまでもないが、では現在、臨床研究の情報はどこかにまとめて公開されているのだろうか?たしか国立がん研究センターに何かあったのではないかと調べてみると「国立がん研究センターがん対策情報センターがん情報サービス」の中に「がん関係の臨床試験(小児)」というページがあった。



1相試験から第Ⅲ相試験までとその他をあわせて全部で37件の臨床試験について情報が公開されている。(何だか少ない感じがするが…)


主要な個別の病院ではどうなのだろうか?私が外部委員として臨床研究倫理委員会倫理委員をさせていただいている大阪市総合医療センターでは、次のように公開されている。


小児血液腫瘍科だけで30以上の臨床研究・治験が実施されていることが分かる。


倫理委員を務めさせていただいて3年目になるが、審議させていただく試験の中には「これはいいな」と感じる試験も多い。こうした情報を適切な形で患者家族が知ることができたなら「治療の選択」にかなり役立つことは間違いないだろう。



(「みんなで考えよう!これからの小児がん医療Ⅱ」のアンケート結果については、まとまり次第エスビューローのホームページに掲載していく予定です。)


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